- 「良かれと思ってアドバイスをしているが、いつまでも調達部員が自分で判断せず、些細なことでも確認に来る・・・。」
- 「関連部署との調整に時間がかかるため、つい自分で「正解」を伝えてしまい、調達部員が深く考えなくなっている・・・。」
- 「目先の調整やトラブル対応に追われ、自走できる人材へと育てるための調達マネジメントの時間が確保できない・・・。」
調達マネジャーとして現場を支える中で、調達部員の育成方針に迷いを感じる場面は少なくありません。日々の調達業務においては、スピードや確実性を優先するあまり、つい調達マネジャーが自ら答えを提示してしまいがちです。
しかし、この「正解を教える」という親切心が、結果として調達部員が深く考え、自ら判断する機会を無意識に奪っているケースは少なくありません。
こうした状況が続けば、組織としての対応力はいつまでも向上せず、調達マネジャー自身の負担も軽減されることはありません。
今求められているのは、単に答えを与えて事態を収束させることではなく、調達部員が自ら最適な解を見つけ出せるよう、思考のプロセスを支援する関わり方です。
今回のブログでは、調達部員が指示を待つのではなく、自らの力で答えを導き出せるようになるための「考え方」の共有方法について、具体的な対話の進め方とともに紐解いていきます。
今回は、【調達人材育成】調達部員の「考える力」を奪っていませんか?「答え」を教えすぎる調達マネジメントからの脱却についてお伝えしますので、ぜひご覧ください。
【調達人材育成】調達部員の「考える力」を奪っていませんか?「答え」を教えすぎる調達マネジメントからの脱却
なぜ、つい「答え」を口にしてしまうのか?調達マネジャーを急がせる3つの要因
調達マネジャーが、調達部員に考えさせる時間を待てず、つい自ら答えを提示してしまう背景には、現場特有の切実な事情があります。ここでは、無意識に「答え」を急いでしまう3つの主な要因について整理します。
要因① 納期とスピードの優先
調達業務には常に納期が伴います。関連部署からの要望に応えるスピードが重視される中、調達部員が試行錯誤するのを待つよりも、経験豊富な調達マネジャーが正解を伝えてしまった方が効率的であるという判断が働いてしまいます。
誤った判断が供給不安やコスト増大に直結する調達業務において、失敗は許されないという強いプレッシャーがあります。重大なトラブルを未然に防ぎ、確実に業務を完結させようとする責任感から、リスクのない「正解」を自ら提供してしまいます。
困っている調達部員を助けてあげたい、負担を減らしてあげたいという調達マネジャーの純粋な親切心です。しかし、この「答えを教えてあげる」という優しさが、結果として相手の成長機会を肩代わりしてしまっている側面があります。
このように、スピード、リスク管理、そして善意という、調達マネジメントにおいて本来重要とされる要素が、皮肉にも「答えを教えすぎる」状況を作り出してしまっています。
親切心が成長を阻む。答えを与え続けることで生じる3つの育成リスク
前項で触れた通り、調達マネジャーの善意が、時として調達部員の成長機会を奪ってしまうことがあります。ここでは、答えを教えすぎてしまうことで生じる具体的な3つの育成リスクについて解説します。
常に正解が与えられる環境では、調達部員は自ら考える必要性を感じなくなります。「困ったら、調達マネジャーから答えをもらえる」という依存心が生まれ、主体的に動かず指示を待つだけの姿勢が定着してしまいます。
育成リスク② 応用力や問題解決能力の欠如
調達業務は、仕入先ごとに事情が異なるなど、ケースバイケースで対応する必要があります。「なぜその答えになるのか」というプロセスを経験せずに結果だけを受け取っていると、少し状況が変わった際に応用が利かず、未知の課題に対処する力が育ちにくくなります。
育成リスク③ 成功体験の欠如による自信の喪失
自らの思考と判断で困難を乗り越える経験は、大きな自信に繋がります。しかし、調達マネジャーが先回りして正解を与え続けてしまうと、調達部員は「自分の力でやり遂げた」という実感が得られず、いつまでも自信を持つことができなくなります。
このように、良かれと思って差し出した「答え」が、長期的な視点で見れば調達部員の自立を妨げる大きな壁となってしまいます。
教えるのは「答え」ではなく「導き方」 自走を促す調達マネジメントへの転換
調達部員が自ら考え、判断できる組織に変わるためには、調達マネジャーの関わり方を根本から変える必要があります。ここでは、具体的な「答え」を提示する代わりに、解決への「導き方」を共有する手法について解説します。
直面している課題に対して「Aというアクションを取りなさい」と指示するのではなく、「どのような視点で考えれば、最適なAという判断にたどり着けるか」という思考のプロセスを共有することです。調達マネジャーが持つ判断の「根拠」や「優先順位の付け方」を言語化して伝えることが、このアプローチの核心です。
調達部員から「納期遅延が発生しそうですが、どうすればいいですか?」と相談を受けた際、すぐに代替案を指示してしまう。
「まずは供給停止による関連部署への影響範囲を確認してください。その上で、コストアップを許容して空輸に切り替えるのか、あるいは他社在庫を優先的に確保するのか、どちらが今の状況での優先順位に合致していると思いますか?」
このように、判断に必要な「視点」を提示し、調達部員自身に選択肢を比較させる対話を試みます。
この対話において重要なのは、最終的な判断の責任は調達マネジャーが負いつつも、思考の主導権は最後まで調達部員に持たせることです。あまりに細かく誘導しすぎると、結局は「調達マネジャーの望む答えを探す」という別の依存を生むおそれがあります。
「答え」は一度きりの解決にしかなりませんが、「導き方」は一生使えるスキルになります。目の前の調達業務を完結させるスピードも大切ですが、あえて思考を促す対話を選ぶことが、結果として強い調達チームを作る近道となります。
まとめ
- 答えを教える背景には、現場特有の切実な事情がある 納期遵守やリスク回避、そして調達部員を助けたいという善意が、つい「正解」を先回りして提示させる要因となっている。
- 答えを与え続けることは、調達部員から思考の機会を奪い、指示待ちの姿勢を定着させるリスクにつながっている。
- 結論だけを伝えるのではなく、判断の基準や視点という「導き方」を共有し、調達部員に思考を促す関わり方に変えることで、変化に強い調達チームを築くための基盤となる。
答えを教える「教え方」から、考え方を共有する「関わり方」へ
今回のブログでは、調達部員が自ら判断できるようになるための「導き方」についてお伝えしました。日々の調達業務に追われる中で、つい「答え」を伝えてしまうのは、それだけ皆さんが責任感を持って仕事に向き合っているからこそだと思います。ただ、その優しさが、少しだけ成長の機会を遠ざけている可能性についても、一度立ち止まって考えてみる価値があるかもしれません。
まずは、次に相談を受けたときに、すぐに解決策を伝えるのを少しだけ待ち、判断のヒントとなる「視点」を一つだけ投げかけてみるのはいかがでしょうか。「今回の仕入先との交渉で、一番守るべきポイントは何かな?」といった短い問いかけからでも、調達部員の自立は始まっていきます。
多忙な中でじっくり向き合うのは大変なことですが、思考のプロセスを共有する関わりは、少しずつ着実に調達チームの力になっていきます。皆さんの温かい見守りがあるからこそ、調達部員は安心して一歩を踏み出すことができ、その積み重ねが、将来の確かな成長に繋がっていきますよ。
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「考え方を共有する大切さはわかっているけれど、忙しい現場で実践するのは難しい・・・。」と感じている調達マネジャーの方へ。日々、納期やコストの重圧と戦う調達マネジャーにとって、じっくりと対話の時間を取ることは、決して簡単なことではないと思います。
応援のチカラ「調達人材育成支援コンサルティング」では、そんな現場のリアルな状況に寄り添い、無理なく取り入れられる調達マネジメントの仕組みづくりをお手伝いしています。調達部員一人ひとりの強みを引き出し、自走できる組織へと変わっていくための具体的なプロセスを一緒に組み立てていくことが可能です。
まずは、今抱えている現場のお悩みを、無料オンライン相談で聞かせてください。答えを教える「教え方」から、共に考える「関わり方」へ。一歩踏み出すヒントをリラックスした雰囲気でお話しできれば嬉しいです。
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