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【調達組織風土改革】なぜ関係部署の「御用聞き」から抜け出せないのか?「攻めの調達」に必要な5つの視点

【調達組織風土改革】なぜ関係部署の「御用聞き」から抜け出せないのか?「攻めの調達」に必要な5つの視点
  •  「関係部署から『これ、明日までに発注して』と急ぎの依頼ばかり。断る余裕もなく、ただ振り回されている・・・。」
  •  「本来はもっと戦略的なコストダウンをしたいのに、日々の伝票処理や納期調整に追われ、一日の大半が過ぎてしまう・・・。」
  •  「価格を安くすることだけが評価基準になっていて、調達部門が会社にどう貢献できているのか実感が持てない・・・。」

昨日のブログでは、調達部門の属人化を解消するための部内会議活用術をお伝えしました。

(関連ブログ:2026年1月14日)
【調達部内会議】部内会議で解決できること(属人化編)〜「担当者しか知らない」を調達チームの知恵に変える3つのステップ〜

調達部内の「情報のブラックボックス化」を解消することは、調達部門を変えていくための第一歩です。その先に調達マネジャーが目指すべき姿があり、それが「攻めの調達」です。


私自身、調達マネジャーをしていたときに、まさに「御用聞き」の状態に陥っていました。自分では戦略的に動いているつもりでも、関係部署の急な依頼に振り回され、調達部員にも目先の納期調整ばかりを指示してしまう。そんな「守りの調達」をこなす毎日に、強い危機感を抱いていました。


「このまま、ただ安く買えるように交渉し、納期を合わせるだけの組織でいいのだろうか?」


もし、調達マネジャーのあなたも同じような葛藤を抱えているのなら、今必要なのは新しいスキルではなく、「調達の役割」に対する定義のアップデートかもしれません。

今回のブログは、関係部署の御用聞きから脱却し、会社から頼りにされる調達部門へと進化するための「攻めの調達」に必要な5つの視点についてお伝えします。

今回は、【調達組織風土改革】なぜ関係部署の「御用聞き」から抜け出せないのか?「攻めの調達」に必要な5つの視点についてお伝えしますので、ぜひご覧ください。

 


【調達組織風土改革】なぜ関係部署の「御用聞き」から抜け出せないのか?「攻めの調達」に必要な5つの視点



「守りの調達」と「攻めの調達」の違い

「攻めの調達」に必要な5つの視点について詳しくお伝えする前に、まずは「守りの調達」と「攻めの調達」にはどのような違いがあるのか、確認しておきましょう。言葉の響きから「積極的かどうか」といった精神論のように聞こえるかもしれませんが、実は、その「目的」と「動き方」には決定的な違いがあります。

「守りの調達」(従来型)

  • 主な目的 :コスト削減・安定供給の維持
  • 関与のタイミング :出図後・依頼後の「川下」
  • 仕入先の位置づけ :発注先(価格を安くする交渉先)
  • 評価の基準 :単価の安さ・納期の遵守
  • 調達マネジャーの役割 :進捗管理とトラブル対応(火消し)

「攻めの調達」(戦略型)

  • 主な目的 :価値創造・競争優位性の構築
  • 関与のタイミング :企画・設計段階の「川上」
  • 仕入先の位置づけ :外部パートナー(知恵を借りる対象)
  • 評価の基準 :トータルコスト・利益貢献・技術導入
  • 調達マネジャーの役割 :戦略立案と組織間の調整(仕掛け)


「御用聞き」はなぜ「守りの調達」なのか?

 「守りの調達」の最大の特徴は、関係部署や状況に対して「受動的(後手)」であることです。 関係部署から言われたものを、言われた納期で、少しでも安く買う。これは調達の基本ではありますが、この動きだけでは「御用聞き」の域を出ることができません。結果として、急な設計変更や納期遅延などの「外部要因」に振り回され続け、調達マネジャーの時間はトラブル対応という「火消し」に消えてしまいます。

攻めの調達が「価値の源泉」に変わる

一方で「攻めの調達」は、自ら「能動的(先手)」に仕掛けます。 「いかに安く買うか」だけでなく、「いかに事業成長に貢献し、価値を最大化するか」という視点を持ち、関係部署や仕入先を巻き込んでいきます。調達部門が単なるコストセンターではなく、会社の未来を創る「戦略部門」へと進化している状態、それが攻めの調達です。

 

「攻めの調達」視点① 設計・企画の「川上」に働きかける(開発フロントローディング)

ここからは、「攻めの調達」に必要な視点についてお伝えしていきます。「攻めの調達」へと転換するための第一の視点は、業務のスタート地点をより手前に引き戻すことです。

専門用語では、「開発フロントローディング」と呼びます。「設計が完了してから動くのではなく、企画や設計の初期段階から調達が入り込むこと」を指します。

製品開発の初期段階(フロント)に多くの負荷(労力・作業)を前倒し(ローディング)で集中させることで、後工程での手戻りや不具合発生を防ぎ、品質向上、コスト削減、開発期間短縮を実現する手法です。設計段階で問題の芽を摘み、ライフサイクル全体での効率化を目指す戦略です。

「川下」の対応が御用聞きを生む

 一般的な業務フローでは、「設計が完了し、図面が出た(出図)」というタイミングで調達にバトンが渡されます。しかし、この「川下」の段階では、すでに材料や形状、加工方法が固定されており、調達部門がどれだけ工夫しようとしても「決められたものを、決められた納期で買う」という受動的な対応しか選べません。これが「御用聞き」から抜け出せない構造的な原因です。


働きかけを「川上」へ移す具体例

  • 守りの姿勢(川下)
  設計から届いた「特注仕様」の図面をもとに、納期と価格を交渉する。
  • 攻めの姿勢(川上)
  図面が固まる前に「その仕様は現在、世界的に材料が不足しておりリスクが高いです。こちらの汎用的な材料に置
  き換えれば、コストも2割抑えられ、納期も安定します」と提案する。

関係部署から依頼が来るのを待つのではなく、自ら企画・設計の場に足を運び、情報の入り口を「川上」に変えること。これが、先手を打つ「攻めの調達」の第一歩です。


「攻めの調達」視点② 仕入先を「発注先」ではなく「外部の専門家」と捉える(共創・価値創造)

「攻めの調達」へと転換するための第二の視点は、仕入先との向き合い方を変えることです。

なぜ「ただの発注先」として見てしまうのか?

多くの調達現場では、仕入先を「こちらの指示通りに物を作る、あるいは納品する場所」と捉えがちです。これは、調達部門が「図面通りのスペックを、いかに安く手に入れるか」という評価基準に縛られているためです。その結果、仕入先とのコミュニケーションは価格交渉や納期督促といった「事務的なやり取り」に終始し、仕入先が持つ真の力を引き出せなくなっています。

仕入先を「外部の専門家」と捉える共創・価値創造とは何をするのか?

「攻めの調達」では、仕入先を自社の不足している技術やノウハウを補ってくれる「外部の専門家」、すなわち「共創(共に価値を創る)パートナー」と定義し直します。自社だけで製品価値を高めるのには限界があります。その道のプロである仕入先の知恵を借り、設計段階から巻き込むことで、自社だけでは思いつかなかった革新的な改善や、新たな価値を生み出すことが可能になります。

仕入先の知恵を活かす具体例

例えば、ある加工部品のコストダウンと軽量化を目指しているケースを考えてみましょう。

  • 守りの姿勢(発注先)

  複数の仕入先に相見積もりを取り、最も安く加工できる先を探す。

  • 攻めの姿勢(専門家)
  仕入先の技術担当者に「実は製品を軽量化したい。最新の加工技術や、新しい素材といった何か良い案はないです
  か?」と相談を投げかける。

その結果、仕入先から「その形状なら、削り出しではなくプレス加工に変更すれば、強度は維持したまま30%軽量化でき、コストも下がりますよ」といった、設計図面そのものを根本から見直すような提案が返ってくることがあります。これが、外部の知恵を活用した「価値創造」の瞬間です。

仕入先を単なる「モノの供給源」と見るのをやめ、彼らが持つ「専門知識の宝庫」にアクセスすること。仕入先と共に価値を創る姿勢が、調達部門の貢献度を劇的に高めます。


「攻めの調達」視点③ 市場動向を先読みし、供給網全体を最適化する(戦略的ソーシング)

「攻めの調達」へと転換するための第三の視点は、視座を「自社と仕入先の二者間」から「市場全体とサプライチェーン(供給網)全体」へと広げることです。

「市場動向を先読みし、供給網全体を最適化する」とは?

単に「目の前の見積価格を安くする」ことだけを目指すのではなく、「市場トレンド、物流コスト、在庫リスクなど、あらゆる要因を網羅し、トータルで最も価値が高い供給ルートを構築すること」を指します。

具体的には、以下のような情報を組み合わせて最適なサプライヤーを探索・選定します。

 

  • 市場トレンド: 原材料の価格推移や、世界的な需要バランスはどうなっているか。
  • 物流・在庫: 輸送コストやリードタイムを含めたとき、真に競争力があるのはどこか。
  • 世界規模の探索: 既存の仕入先リストに限定せず、国内外の最適なプレーヤーをフラットに評価する。

 

サプライチェーン全体を最適化する具体例

例えば、主要材料の価格が高騰する兆しがあるケースを考えてみましょう。

  • 守りの姿勢 

  従来通りの国内仕入先から、できるだけ値上げ幅を抑えるように交渉する。

  • 攻めの姿勢
  市場予測から早期にリスクを察知し、「加工賃は安くても輸送費が高い海外」と「加工賃は高いが輸送費が安く納期
  が安定する国内」をトータルコストで再比較する。あるいは、材料の調達ルートそのものを変更し、物流網の無駄
  を省いた「新ルート」を自ら設計する。

このように、部品単価という一つの数字に縛られず、モノが届くまでの「全工程」を見渡し、市場の変化に合わせた最適な形に組み替えていく姿勢が求められます。

「いつもの仕入先から、いつものように買う」ことをやめ、市場の波を読みながら、供給ルートそのものを戦略的にデザインすること。この全体最適の視点こそが、会社の財務体質を強くする武器になります。


「攻めの調達」視点④ トラブルが起きる前に「供給網の弱点」を補強する(リスクマネジメント)

「攻めの調達」へと転換するための第四の視点は、未来に起こりうる「不測の事態」を想定し、先回りして手を打っておくことです。

調達におけるリスクマネジメントとは?

調達におけるリスクマネジメントとは、単に「トラブルが起きてから慌てて代替先を探す」ことではありません。「有事の際にも事業を止めないための強靭な体制を、平時から自ら設計しておくこと」を指します。

具体的には、以下のような「仕掛け」を事前に行っておきます。


  •  代替品の事前認定
  主要部品が供給不能になった際、すぐに切り替えられるよう別の部品を設計段階でテスト・承認を済ませておく。
  • 供給ルートの多重化(マルチソース化)
  特定の1社に依存せず、複数の仕入先や異なる地域から調達できる体制を構築する。

リスクマネジメントを「攻め」で行う具体例

例えば、特定の地域で災害や地政学的リスクが高まっている場合や、特定の仕入先の経営状況に不安があるケースを考えてみましょう。


  • 守りの姿勢
  「今はまだ届いているから大丈夫」と現状を維持し、実際に供給が止まってから必死に代わりの品を探し回る。
  • 攻めの姿勢
  リスクを予見し、平時のうちに「同じ機能を持つ標準的な代替品」を設計部門と協力して選定しておく。
  また、供給が止まる前に、あえて別ルートでの少量発注を並行して行い、いざという時に供給量を即座に増やせる
  「パイプ」を維持しておく。

このように、トラブルが起きてから対処する「火消し」ではなく、火が起きても燃え広がらない仕組みをあらかじめ作り上げることが、攻めのリスクマネジメントです。 

「何事もない日常」のうちに、供給網の弱点を見つけ出し、補強しておくこと。この備えがあるからこそ、調達マネジャーは目先のトラブルに振り回されず、自信を持って組織をリードできるようになります。


「攻めの調達」視点⑤ 経営戦略と連動した「調達シナリオ」を描く(経営貢献への視点)

「攻めの調達」へと転換するための最後の視点は、調達部門を「経営を動かすエンジン」として位置づけることです。

経営戦略と連動した「調達シナリオ」を描くとは?

単に与えられた予算の範囲内でやりくりするのではなく、「会社の成長目標や新製品の計画から逆算し、利益と競争力を最大化するための戦略(ストーリー)を自ら描き、経営層へ提言すること」を指します。

経営が目指す方向(売上倍増、新市場進出など)を理解した上で、それを実現するために「どのタイミングで、どの地域から、どのようなパートナーと組むべきか」という調達のグランドデザインを描く視点です。

「調達シナリオ」を描く具体例

例えば、会社が「3年後に海外売上比率を50%に引き上げる」という経営目標を掲げているケースを考えてみましょう。


  • 守りの姿勢 

   海外向けの製品仕様が決まってから、現地の仕入先を探し始め、コストや品質の課題に後から直面する。

  • 攻めの姿勢
  3年後の目標から逆算し、「今のうちから東南アジアにハブとなる仕入先を開拓し、現地の物流網を確保しておく。
  そうすれば輸送費を〇%削減でき、現地での価格競争力も担保できる」という調達シナリオを構築。
  これを経営層に「成長戦略の要」として直接提言する。

このように、経営の動きを先読みし、調達側から「成功の道筋」を提示することで、調達部門は単なるサポート役から、経営の意思決定に欠かせないパートナーへと進化します。

目の前の伝票や納期管理から一度目を離し、会社の未来図と自分たちの調達戦略を重ね合わせること。この「経営への貢献視点」こそが、調達マネジャーや調達部門長が持つべき究極の「攻め」の姿勢です。


まとめ

  • 「守りの調達」と「攻めの調達」の違いは、 受動的な「火消し」から、能動的な「仕掛け」という役割の違い。
  • 「攻めの調達」に必要な視点①は、設計・企画の「川上」に働きかる。仕様が固まる前の段階から関与し、調達の知見を注入する。
  • 「攻めの調達」に必要な視点②は、仕入先を「外部の専門家」と捉える。価格交渉相手ではなく、知恵を借りるパートナーとして巻き込む。
  • 「攻めの調達」に必要な視点③は、市場動向を先読みし、供給網全体を最適化する。単価という点ではなく、市場と物流を含めた「全工程」で最適解を出す。
  • 「攻めの調達」に必要な視点④は、トラブルが起きる前に「供給網の弱点」を補強する。代替品の事前認定など、有事でも止まらない強靭な仕組みを平時に作る。
  • 「攻めの調達」に必要な視点⑤は、経営戦略と連動した「調達シナリオ」を描く。会社の成長目標から逆算し、利益を最大化するストーリーを経営層へ提言する。

まず、ここから始めてみませんか?

「攻めの調達」と聞くと、何か大きな改革が必要に感じるかもしれません。しかし、最も大切なのは新しいスキルを習得することではなく、調達マネジャー自身の「視点」を一つ変えてみることです。

まずは、関係部署との打ち合わせで、「この仕様が決まる前に、何か調達部門で力になれることはありませんか?」と一言問いかけることから始めてみてください。その小さな一歩が、あなたの組織を「会社の未来を創る戦略部門」へと変える大きな転換点になるはずですよ。


【無料相談】「守りの調達」から「攻めの調達」への改革。一人で悩まず、外部の視点を取り入れてみませんか?

「攻めの調達が理想なのはわかっている。でも、日々の業務に追われる部下たちに、どうやってこの視点を浸透させていければいいのか・・・。」そんな不安や孤独感を感じている調達マネジャーの方は少なくありません。組織の風土を変えることは、想像以上にエネルギーを必要とする作業です。

応援のチカラでは、今回のブログでお伝えした「攻めの調達」を実現するための調達組織風土改革をサポートしております。調達マネジャーであるあなたが一人で戦うのではなく、第三者の視点を入れることで、調達部員の意識や部内会議の空気を、よりスムーズに、より確実に変えていくことができます。

これからの調達部門をどう描いていきたいか、お話ししてみませんか? あなたが理想とする「攻めの調達」への第一歩を、一緒に踏み出しましょう。

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