関係部署との細かな調整や、仕入先営業担当者とのコスト削減交渉など、調達業務には最初から決まった答えがないものが数多くあります。こうした「正解」のない調達業務を調達部員に任せようとしても、状況が悪化することを懸念して、結局は調達マネジャー自ら動かざるを得ない場面も多いのではないでしょうか。
しかし、調達部員が自ら考えて答えを導き出せるようになるための指示の出し方や日頃のコミュニケーションの取り方を少し工夫するだけで、状況は大きく変わり始めます。
今回のブログでは、「最初から答えが決まっていない調達業務」を、調達部員に指導するポイントについてご紹介します。
今回は、【調達人材育成】「最初から答えが決まっていない調達業務」をどう教える?自走を促す3つの指導ポイントについてお伝えしますので、ぜひご覧ください。
【調達人材育成】「最初から答えが決まっていない調達業務」をどう教える?自走を促す3つの指導ポイント

「答えのある調達業務」と「最初から答えのない調達業務」の違いとは?
まず、「答えのある調達業務」と「最初から答えのない調達業務」の違いについてお伝えします。調達業務は大きく2つのタイプに分かれます。この違いを正しく理解することが、調達部員への適切な指導に向けた第一歩となります。
【答えのある調達業務】
あらかじめ進め方やルールが確立されており、手順通りに進めれば誰が対応しても同じ結果にたどり着く調達業務です。
システムに入力されたデータに基づき、決められた手順に従って正確に書類を作成・送付する。
仕入先から回答のあった納期を、管理表やシステムへルール通りに反映させる。
【最初から答えのない調達業務】
決まった正解が存在せず、状況に応じて自ら最適な着地点を探り、創り出していかなければならない調達業務です。
仕様変更や納期の前倒しなど、関係部署の事情を汲み取りながら、納得できる落としどころを見つけ出す。
原材料の高騰や市場動向を背景に、仕入先営業担当者が提示する価格の根拠を分析し、自社の目標達成に向けて粘り強く合意形成を図る。
このように、調達業務には「マニュアル通りに進めれば良いもの」と「自ら考えて答えを創り出すもの」が混在しています。調達部員が後者の「最初から答えのない調達業務」で立ち止まってしまうのは、手順を覚えれば済む前者の業務と同じ感覚で取り組もうとしているからです。調達マネジャーとしては、これら2つの調達業務は全く性質が異なるものであることを明確に伝えていく必要があります。
「最初から答えのない調達業務」を指導する3つのポイント
①最初におおまかな調整や交渉の方向性について指導する
状況: 生産計画の急な変更により、関係部署から納期短縮を強く求められている。
指導方法: 「まずは関係部署の希望納期を確認した上で、仕入先に打診してみてください。ただし、全数間に合わない場合は、週明けに最低限必要な数量だけでも確保することを最優先の落としどころにしましょう。」といった形で目指すべき方向性を具体的に提示する。
このように、あらかじめ「ここまでは譲れるが、ここだけは守る」という判断基準を伝えておくことで、調達部員は自信を持って関係部署との調整に臨めるようになります。
②調達部員が自ら考えて行動できるようにコミュニケーションの取り方を工夫する
一答えをすぐに与える「ティーチング」だけでなく、問いかけによって本人の気づきを促す「コーチング」を活用します。コーチングを取り入れることで、調達部員が自ら考えて行動する力をサポートできます。
【仕入先とのコスト削減交渉における指導例】
このように、調達マネジャーが質問することで、調達部員の中に「コスト削減交渉の組み立て方」の考える習慣が定着できるようにサポートします。
③関係部署や仕入先からの要望に対しての回答を準備する
【品質トラブルにおける指導例】
状況: 仕入先で発生した品質不具合について、発生した損害費用の負担を仕入先に求めている場面。
指導方法: 「もし仕入先から『自社の責任範囲を超えている』と主張されたら、どの契約条項を根拠に再回答しますか?」「また、『全額負担は経営上厳しい』と言われた場合には、どのような支払い条件なら合意できそうですか?」と、仕入先からの反論を想定して具体的な回答をシミュレーションする。
まとめ
まず、コーチングを使って調達部員が自分で考える機会をつくることから始めてみませんか?
「最初から答えのない調達業務」は、正解を教えることができないからこそ、教える側も教わる側も戸惑うことが多いものです。しかし、手順を覚えれば済む調達業務とは全く別のものとして捉え、向き合い方を変えることが大切です。
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今回のブログで紹介した「答えのない調達業務」への指導は、これまでのやり方と大きく異なるため、戸惑うことも多いのではないでしょうか。
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