「毎期のコストダウンなんとかしなければ・・・」
「技術部門に協力してもらわないと進まないしなあ・・・」
「長い間、疎遠になっていて話のきっかけがつかめない」
と、感じながら調達・購買部門で仕事をされている方に、
1、毎期のコストダウン交渉の準備が後回しになる理由
2、技術部門に協力してもらうポイント2つ
3、疎遠になっている相手と話をするきっかけづくりの方法
の3つについて、
調達業務経験13年、日本能率協会講師歴6年、プロコーチ歴10年の私が解説します。
1、毎期のコストダウン交渉の準備が後回しになる理由
納期調整、品質トラブルへの対応、社内打ち合わせ、取引先との商談、その他事務的な作業など、次から次へと仕事が増えていきますよね。私も、気づいたらあっという間に夕方になっていて、朝やろうと思っていたことがなに一つできてない・・・。ということが多々ありました。
後回しになる理由は、2つです。
(1)準備するための時間が確保されていない
普段の仕事の進め方について、振り返ってみてください。目についたことから優先して仕事をしていないでしょうか?
「関係部門からの問い合わせへの対応」「取引先からの相談への対応」といった、社内外の関係者から問い合わせや依頼を受けたりする仕事のことを、”頼まれ仕事”と言っています。
”頼まれ仕事”の特徴は、依頼されたことをこなしていると仕事をした気になってしまうことです。依頼するからには、「いつまでに対応してほしい」という期限があります。つい優先してしまいがちですが、その結果、じっくり時間をかけて準備して進めなければならない「コストダウン」のことが後回しになってしまうのです。
(2)準備すべきことが具体的になっていない
コストダウン交渉を行うために準備すべきことをどこまで具体化されていますか?
いざ、準備を始めようと思っても、「何から始めようか・・・」と迷ってしまうと、「うーん、よくわからないから、また明日やろう」と後回しにすることを繰り返してしまいます。ポイントは、交渉準備をするための計画づくりから始めることです。「いつまでに準備する必要があるのか?」「交渉するための施策は?」「施策を実行する上での課題は?」「まず、なにを始めたらいいのか?」といったことを考える時間を確保することからやってみてください。
2、技術部門に協力してもらうポイント2つ
「コストダウン交渉の施策が決まり、進めようと思ったときに技術部門がキーマンとなることが多い」。
当社の研修ではグループディスカッションを行いますが、コストダウンを進める上で「関係部門のキーマン」を1人挙げて、そのキーマンの協力を得るために何をすべきかということを話し合います。その時に、技術部門をキーマンにあげる方が多いです。理由は、仕様変更や取引先変更を行うには、技術部門で技術評価等を行う必要があるためです。
しかし、「コストダウンをしたいので変更してもいいですか?」と相談しても、簡単には協力してもらえないことが多いのではないでしょうか。
技術部門に協力してもらうポイントは、2つです。
(1)コストダウンそのものの費用対効果を伝える
仕様変更、取引先変更等の施策を行うことでのコストダウン効果です。技術評価等を行うことで技術部門のスタッフの手間、つまり人件費がかかります。その人件費をかけてでも効果があるということを伝えると検討してもらいやすくなります。
(2)コストダウンそのもの以外での必要性を伝える
コストダウン以外の必要性とは、現行の条件で調達していると、近い将来リスクがあるので変更した方がいいということです。たとえば、現行の取引先の状況が「納期対応が悪く、指導しても改善しない」「現状の仕様は、品質トラブルが多発してクレームになっている」「財務状況が悪くこのまま調達し続けていると、いつ供給ストップするかわからない」といったことです。コストダウン以外での必要性と合わせて伝えることで協力してもらいやすくなります。
技術部門のキーマンに協力を依頼するときには、この2つをチェックしてみてください。
3、疎遠になっている相手と話をするきっかけづくりの方法
いざ、コストダウンの話をしようとしても、普段の仕事が忙しくて疎遠になっている相手(技術部門のスタッフ等)とどう話をしたらいいのかわからないという方も多いと感じます。ポイントは、一緒に仕事をする機会をつくることです。一緒に仕事をする機会があれば、お互いの仕事の状況を理解することができますし、きっちり対応できれば、信頼感がアップして協力してもらいやすくなります。
一緒に仕事をする機会をつくるポイントは、3つです。
(1)相手の状況を把握する
状況を把握するというのは、どんな仕事をしているかということです。特に優先順位の高い仕事をヒアリングしましょう。優先順位の高い仕事にどのくらいの時間を使って対応しているのか、その仕事はいつ頃にメドがつくのかといった、仕事の密度を把握しておくと、コストダウンの協力をお願いするときの参考になります。
(2)調達部門で協力できることがないか質問する
優先順位の高い仕事の中で、調達部門に協力できることはないか聞いてみましょう。重要な仕事を手伝いますと名乗り出てくれると、相手はとても喜んでくれます。当社では、それを「応援力」と言っています。相手の気持ちに寄り添って、自分のできることで協力すると、相手もあなたのために何かしてあげたくなります。「なにか手伝えることはありませんか?」と質問してみましょう。
(3)協力できることを実行する
もちろん、名乗り出たからには実行しなければ、信頼してもらえません。ポイントは、「すぐに出来ること」、「そんなに労力をかけなくてもできること」を1つ実行することです。たとえば、「取引先から必要な情報を入手する」「相見積を入手する」「他部門の情報を共有する」「書類等の社内手続きのフォローをする」といったことです。協力できることで簡単にできそうなことをまず1つやってみてください。
その上で、2項目の「技術部門に協力してもらうためのポイント2つ」を参考にしながら、コストダウンの協力をお願いしていきましょう。
【まとめ】
・コストダウン交渉の準備は、まず計画づくりの時間を確保することから始める。
・技術部門の協力を得るには、費用対効果とコストダウン以外の理由を考えておく。
・疎遠になっている相手とは、「一緒に仕事」をする機会をつくるのが近道。
当社では、「応援されるリーダー」育成のための、土台づくりを重視した研修プログラムをご提供しております。また、土台づくりを定着させるための「研修後フォロープログラム」も合わせてご用意しております。
ぜひ、当社研修プログラムのページもご覧ください。
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